ブンミおじさんの森

見たいと思っていたがついつい先延ばしにしていたアピチャッポンウィラーセタクン監督の
ブンミおじさんの森」を見た。
何年前かのブログで私は彼の映像作品を「湿度と温度の上がったタルコフスキー」と
思ったのだが、
2時間弱の作品を見ると誰かの名前を借りるよりも
ウィラーセタクンはウィラーセタクンであるという、突出したセンスと美意識とオリジナリティに
あふれていた。が、早送りしたくなる誘惑にかられたのも、後半夜中の2時すぎてたせいか
眠くなったのも、タルコフスキーを見たときの感じを思い出す。


タイにピー(精霊)がいて、一家に一つオリジナル精霊がいるとかいう話は
サイバラのタイマンガで知ってはいたが
こんなに異界のものを受け入れられる土壌なのだなあ。
サルの怪物はもののけ姫のショウジョウに似ていた。
霊たちは害を与えるわけでもなく、ただ近くにいて
ときどき人間と入れ替わる。
ティムバートンが「サプライズ」と言ったのもわかるわー。
ブンミおじさんの葬式以降はかなり俗世界の描写になる。
期間限定出家をした甥は禁を破るし、ブンミの義妹は香典の勘定をしている。
でも義妹と甥が食事に行く時、彼らの分身は部屋に残って、彼らはそれを見る。
神秘的な森の中だけでなくとも
異界との交流は続くのね。
メランコリア」に続くよい映画であったよ。